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2022年の小売業界を形成する6トレンド

4/5/2022
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本記事の内容はForbesに掲載されたものです。

※本記事は英語でもご覧頂けます:Six Trends That Will Shape Retail in 2022

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的パンデミックが発生する中、小売業界は急速な変化の時を迎えた。経済が回復する中、数々の企業が現在も新しい環境への対応に追われている。そして2022年、依然残るサプライチェーンのボトルネック、記録的なインフレ、そして進化し続ける消費者行動が、小売業界に新たな課題をもたらすだろう。

2022年、小売企業や消費者ブランドが念頭に置くべきは次の6トレンドである。

より少ないコストでより多くを求める消費者

現在も続くパンデミック、サプライチェーンのボトルネック、そして時折発生する品不足により、記録的なインフレが引き起こされている。物価が上昇し続ける中、消費者はより多くの購買決定において付加価値を求めるようになるだろう。

一般的に、消費者は節約志向になると、より安価なブランドやプライベートブランドに目を向けるようになり、高級スーパーマーケットよりも、より安いディスカウントストアやオンラインストアを利用するようになる。ユーロモニターインターナショナルによると、ディスカウントストアは、過去10年間において世界で最も急速に成長した店舗型の業態であったが、2022年も安定した成長率を記録すると予想されている。2008年の世界金融危機以降、プライベートブランド製品の品質が向上したこともあり、価値を重視した購買が人気を維持してきたが、2022年はインフレ圧力によって、そうした傾向がさらに促進されることが予想される。

加速する仮想テクノロジーへの投資

ユーロモニターインターナショナルの「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:小売業サーベイ(2021年)」によると、オンライン体験を強化するためにAR(拡張現実)とVR(仮想現実)への投資を増やすと回答した小売業界関係者が増加している。これらのテクノロジーは、静的なオンライン体験を多感覚的なものに変え、COVID-19の中で急速に勢いを増した。

また、同社の「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:デジタルサーベイ(2021年)」によると、家庭用品や衣類を購入前に試すために、そのようなバーチャルアプリケーションを利用する消費者も増加している。2022年も、ARやVRなどのデジタルテクノロジーが、引き続きオンラインショッピングを次のレベルへと押し上げていくだろう。さらに、メタバースと呼ばれる包括的なバーチャル世界が、バーチャル上での交流に一層の広がりをもたらすと考えられる。

代表的なAR/VRコマース活動(2020年/2021年)

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小売業界の成長エンジンであり続けるアジア太平洋地域

アジア太平洋地域の消費者支出は、2026年には北米地域を抜いて、世界最大になると予想されている。アジア太平洋地域における消費者支出の急速な拡大は、同地域の小売業界に直接的な恩恵をもたらすと考えられ、ユーロモニターは、2022年、同地域が他のどの地域よりも強い成長率を記録すると予測している。

また、アジア太平洋地域は、世界的なイノベーションハブとして知られており、世代交代が促されると同時に、ソーシャルコマース、スーパーアプリ、ライブストリーミングといったトレンドが生み出されている。同地域はEコマースの世界的な拡大をけん引し、2022年には世界全体のEコマースの成長の実に60%を同地域が占めると予想されている。なお、世界のEコマース企業TOP4のうち3社(Alibaba Group Holding Ltd(アリババグループ)、JD.com(JDドットコム)、Pinduoduo Inc(ピンドゥオドゥオ))が中国企業である。

迅速なフルフィルメントはもはや最低条件

Eコマースの成長に対応するため、いかに効果的かつ効率的に注文を処理するかが今後の重要な課題となるだろう。これに関して、2つのトレンドが広がりつつある。

消費者は、欲しい商品を時間内に確実に受け取るために、配送よりもピックアップを選択するようになりつつある。また、小売業者やフードサービス業者は、サプライチェーンの問題を回避しつつコストを削減するため、クリックアンドコレクト注文に対してインセンティブを提供するなどしている。

また、スタートアップ企業もEコマースの裾野を広げている。これらの企業は都市中心部での超高速配送サービスを通じて、オンラインでの衝動買いを可能にしている。こうしたサービスの出現により、都市では近いうちに、スナックや飲料などのコンビニエンスストアでの買い物が10~30分程度で自宅に配送されるようになるだろう。

オムニチャネルに全面的に取り組む

企業は、引き続きオムニチャネルへの対応力を高めていくだろう。小売業者や消費者ブランドの業界関係者の約60%が、消費者はパンデミック収束後、企業をデジタル対応力で判断するようになると予想している。事実、ユーロモニターの「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:デジタルサーベイ(2021年)」によると、COVID-19によって加速したテック関連の取り組みで最も多かったのは、オムニチャネルでのプレゼンスの強化であった。

自社の様々な部門やシステムを横断したオムニチャネル機能の統合、そして導入に伴う煩雑さと規模は、依然として小売業者が直面する最大の課題のひとつである。それでもなお、小売業界関係者は、今後1年間において投資努力を集中させるべき分野の筆頭として、顧客が複数のチャネルで在庫を確認できるようにすることを挙げている。

成功するのは強い価値観を持つ小売業者とブランド

価値観に基づいた買い物は、すべての人にとっての最重要動機ではないものの、その重要性は増してきている。ユーロモニターの「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ライフスタイルサーベイ(2021年)」によると、世界のデジタルコンシューマー(インターネット環境のある消費者)の32%が自分の価値観と一致するブランドから購入するとし、27%が社会的・政治的信条と一致しないブランドからは購入しないと回答するまでに至っている。このようなセンチメントは、高収入の都市部の知識ある消費者の間で最も強くなっている。

政治・社会問題への取り組み(2021年)

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小売業者やブランドは、消費者に価格に見合った価値を提供するだけでなく、企業や社会的責任に対する信頼性をアピールする必要がある。実際に、ユーロモニターの「オブ・ザ・インダストリー:小売業サーベイ(2021年)」によれば、小売業者や消費者ブランドの業界関係者は、今後5年間で最も加速させる取り組みとして、サステナビリティを挙げている。

世界各国・地域の小売業に関する統計データや定性情報、またこれらのトレンドが自社の事業や製品分野にどのような影響をもたらすかについて詳しい調査にご興味のある方は、こちらまでお問い合わせください。

(翻訳:横山雅子)

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