本記事の内容はForbesに掲載されたものです。
※本記事は英語でもご覧いただけます:Warby Parker, H&M and CU Break Digital Boundaries
急速に発展するデジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションが急速に進んでいるその背景には、ショッピングプロセスに対する顧客の期待が高まり続けていることがある。そして、利便性の向上、スピード化、最適化そして自動化などを後押ししているのはテクノロジーである。
現在、小売業者は各社、最先端の地位を掴むために競い合っている。オンライン上での買い物やつながりは、依然として戦略上の最重要事項であり、バーチャル技術が大きな役割を果たしている。
これまで、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった技術は、企業が顧客と交流したり、物理的な体験をオンラインで再現するために利用されてきた。今後数年間における技術投資は、パス・トゥ・パーチェス(購買までの道のり)の改善や、バーチャル試着室といった、より高度なアプリケーションに集中するだろう。
小売業界におけるAR / VR発展の影響
Source: Euromonitor International Voice of the Industry: Digital Survey, fielded November 2021
Note: Percentage of retail professionals that believe AR / VR has already had or will have the greatest impact on these areas of their business.
前回の記事ではクリエイティブな実店舗の形態が取り上げられたが、大規模なオンラインチャネルはどうだろうか。Warby Parker(ワービーパーカー)、H&M(エイチ・アンド・エム)、CU(シーユー)の3社は、小売業者がいかにデジタルの境界線を取り払おうとしているかを表す好例である。
ワービーパーカー:視力検査をアップグレード
アイウェア業界のディスラプター、Warby Parker(ワービーパーカー)は、米国で「Virtual Vision Test」アプリを導入し、眼鏡類分野の近代化を進めている。
顧客は店舗に行かなくても、自分の携帯電話で視力検査を受け、処方箋を更新することができる。検査結果は2日後に受け取ることができ、処方箋を更新したい場合は15米ドルで行うことができる。
米国では矯正レンズの購入には処方箋が必要なため、眼鏡店は売上を伸ばすために店頭での視力検査に頼ってきていた。ワービーパーカーの新しいアプリはデジタルで検査を行えるため、オンライン上のより広範な消費者層にアプローチすることができるなど、従来の店舗型チャネルのあり方を破壊しつつある。
H&M:ゲームへ参入
2021年4月、H&M(エイチ・アンド・エム)は任天堂と提携し、「あつまれ どうぶつの森」の中で「Looop Island」という島を開設した。この島では、サステナブルなファッションを促進しており、デジタル上の衣類リサイクルステーション「Looop」を備えている。このリサイクルステーションでは、プレイヤーがゲーム内で着用する衣類を新しい服にアップサイクルすることができる。
開設から7か月後、H&Mは、ゲーム内でビーガンコレクション「Co-Exist Story」のアイテムを発表するとともに、島を動物保護区として再構築した。
ゲームは若い世代に人気のエンターテインメントであり、サステナビリティは依然として注目されている。このパートナーシップにより、H&Mは同社の環境に対する取り組みへの認知度を高め、ゲームユーザーに環境に優しい衣類を奨励し、新たなプラットフォームで消費者を取り込んでいる。
CU:メタバースへ移行
韓国のコンビニエンスストアブランド、CU(シーユー)は、アジア最大のメタバースプラットフォーム「Zepeto(ゼペット)」上でデジタル店舗をオープンした。
プレイヤーはイベントに参加したり、Zepetoのデジタル通貨でバーチャル製品を購入することができる。CUのバーチャルストアはコンサートステージを備えており、同プラットフォーム上でユーザーが意見を発信したり交流できるようになっている。
メタバースは今年いたるところで話題となっているが、まだ新しい分野だ。今後、より多くの消費者がこの急成長するオンライン世界に参加することで、利用方法の幅も広がるだろう。
Source: CU
CUのデジタルコンビニエンスストアは、実店舗型の小売業者がいかにしてバーチャルプラットフォームを通してブランド認知度を高め、既存および潜在顧客とのつながりを深めることができるかを示している。
次世代型のデジタルショッピングとエンゲージメント
パンデミック収束後の買い物客は、シームレスで合理的、そしてチャネル間の連携や統合が向上するような技術の進歩を求めるようになるだろう。
企業は、消費者がいつ、どこで、どのように買い物したいのかに応えなければならない。新たなビジネスモデルと適切な技術を合わせることで、消費者からの支持を得られるようになるだろう。
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(翻訳:横山雅子)