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日本のカンナビス市場主要トレンド:2023年の新たな規制と商機

12/7/2022
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[2024年4月追記: 日本のカンナビス市場に関する無料レポート「日本のカンナビス市場最新トレンド」を公開しました。フォーム入力不要でどなたでも閲覧できます。本記事と合わせてご覧ください]

※本トレンドの最新記事はこちら(2023年12月公開)

2022年、ユーロモニターは初めて日本国内のカンナビス市場に関する調査を実施した。日本はまだ初期市場であるが、特に健康意識の高い国内の消費者の間で、良質な睡眠や痛みの緩和に対する需要があることから、同市場には高い成長機会があると考えられる。カンナビスの日本市場は、2019年の40億円から2022年には170億円と、3年間に4倍に拡大した。しかし、同カテゴリーを取り巻く法的な不確実性やグレーゾーンもあり、国内の主要企業による同分野への投資や積極的な参入はなく、消費者の認識や理解の向上が制限されている。ただし、2023年に予定されている規制変更により、この状況は変わることが予想される。

日本のカンナビス市場規模は2027年までに1,030億円に達すると予想される

日本における合法CBD(カンナビジオール)の売上 20192027

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出所:ユーロモニターインターナショナル

未だに残るカンナビスへの嫌悪感が障壁に

現在、日本国内の消費者のカンナビスに対する理解は限られており、多くの人がCBDを違法大麻と混同しているようである。日本の社会は、違法大麻を一切許容しない厳しい姿勢を示しており、成人間での違法大麻の使用も少ない。日本の15歳~64歳人口の約0.2%が、違法大麻を摂取していると 考えられている(頻度は少なくとも年に1回以上)が、この割合は、ほとんどの国に比べてはるかに低く、特に10%以上を記録している多くの欧米諸国と比較すると、その差は歴然としている。

日本の警察および厚生労働省は、大麻を覚せい剤やコカイン、ヘロインといった「ハードドラッグ」と同じように扱っている。その結果、日本社会は大麻を有害で反社会的なものと見なす傾向があり、例えば有名人が大麻取締法違反で逮捕されれば、大きなメディアスキャンダルとなる。したがって、CBDが日本社会において広く受け入れられるためには、将来的な法改正が不可欠な第一歩となるだろう。

2023年に予定される法改正

日本では1948年に大麻取締法が制定され、大麻が禁止物質になって以来、これまで大きな法改正はなかった。しかし、諸外国における大麻規制の見直しが、日本における規制変更の機運を高めている。2021年、厚生労働省は大麻取締法の見直しのための有識者会議を設置した。そして、2023年に提出される法案で、改正が提案されることが予想されている。これにより、医療用大麻の使用が解禁される可能性が高い。

「部位規制」から「成分規制」への変更がCBDの輸入と市場成長を促す

出所:ユーロモニターインターナショナル

もう1つの重要なポイントは、基準が「部位ベース」(大麻草の部位で決める規制)から「成分ベース」(含有されるカンナビノイド成分による規制)に変更される可能性だ。この変更により、THC(テトラヒドロカンナビノール)のみが規制の対象となる。現在、法律で規制される大麻に該当しないのは、大麻草の成熟した茎と種子のみから抽出、製造されたCBDを含む製品だけである。

しかし、大麻の生産は、免許制で厳格に規制されており、日本国内で栽培された大麻草からCBDを抽出・精製することは事実上不可能である。また、CBD製品を海外から輸入する場合も、輸入者はTHCフリーであることに加え、栽培された茎と種子のみから抽出されたものであることを証明する必要がある。他国では、大麻の部位よりもTHCの含有量に着目した成分ベースの規制が一般的であり、日本独自の部位ベースの規制に対応していることをメーカーが証明することが難しいため、輸入の足かせとなっている。規制を部位ベースから成分ベースに変更することは、CBD輸入の潜在的な門戸を直ちに広げ、新たな市場機会を提供することになる。

新興企業と新しい製品タイプによって市場拡大が加速する

未だアーリーアダプター(初期採用者)だけがCBDの使用経験を有する日本ではあるが、世界最大のCBD市場である米国と比較すると、人気の製品タイプには顕著な違いがある。

米国ではチンキやスプレー製品が、日本ではベイパー製品が人気を集める

出所:ユーロモニターインターナショナル

日本では、ニコチン入りのベイプ(電子タバコ)製品の販売が禁止されている。同国では、べイプはニコチンを摂取するためではなく、フレーバー付きの蒸気の吸引を楽しむ嗜好品である。CBD入りのべイプ製品も、ニコチンやタールなどの有害な成分を摂取することなく、リラックス効果やリフレッシュ効果を得ることができることから支持を集めている。

CBD製品タイプごとの売上シェア%(小売販売額 2022年)

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法律が改正されれば、飲食品、サプリメント、化粧品など様々な業界から主要企業が参入することが予想される。日本の消費者は機能性食品や機能性飲料に慣れていることから、CBD初心者にとっては、飲料タイプやエディブル(食用品)といった身近なフォーマットが試しやすいかもしれない。また、塗布タイプの製品も、消費者が店舗で簡単に試すことができ、日本は巨大なスキンケア市場でもあることから、良い参入商品であると言える。こうした製品は、睡眠補助や痛みの緩和といった製品効果を訴求することで、長寿国として知られる日本の健康志向の消費者にアピールすることが期待できる。

消費者の認知度や理解の向上が不可欠であるが、法改正により、国内の誰もが知る大手メーカーによる参入が可能となり、消費者間でより広く受け入れられるようになることが、今後の高い成長の礎になるだろう。また、他市場と同様に、医療用大麻の合法化は、合法大麻のイメージアップにつながるかもしれない。

より詳細な市場統計および分析については、レポート「Cannabis in Japan(日本のカンナビス市場)」をご覧ください。

 

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