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砂糖と甘味料:消費者嗜好が変化を引き起こす

9/8/2021
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※本記事は英語でもご覧頂けます:Sugar and Sweeteners: Consumer Priorities Triggering Change

過去10年間、糖分と非感染性疾患の発症の関係性がメディアに繰り返し取り上げられてきたことから、消費者が糖分の摂取を控えるようになっていることは驚きではない。しかし、消費者が糖分の摂取を控えるのは、特定の臨床効果を求めるだけではなく、糖分の摂取を控えることが、総体的に健康を向上させることにつながるという考えに基づいている。「砂糖は健康やウェルネスとは相容れないものである」という消費者意識がますます高まりつつあり、企業やブランドも対応を求められている。今後も重要視すべき領域となるだろう。

低脂肪やダイエットよりも糖分の削減

消費者の食品やダイエットに関する優先度は変わりつつある。以前は脂肪分の摂取やダイエットに集中していた消費者たちは今、糖分を減らす事に重きを置くようになった。2020年に実施された、ユーロモニターの『ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ヘルスアンドニュートリション』サーベイ調査によると、53%の回答者が、「糖分の摂取を減らす」を減量方法として選択している。

さらに、同じ調査で砂糖を避ける理由について尋ねたところ、トップの回答は58%の回答者が選択した「(砂糖を控えることが)自分にとって良いことである」であり、その後に57%の「より健康的に感じられるから」が続いた。これらの結果は、消費者が総体的に健康状態を向上させ、そして健康であるという感覚を保つために、敢えて砂糖を避けていることを示している。より多くの消費者が、体調が良いと感じることを優先し、そのために積極的かつ長期的に取り組んでいる。この傾向は企業にとって、健康志向の高い消費者をターゲットにするために、自社製品を低糖と位置付けることの必要性を示唆している。

原料と表示ラベル:「砂糖を避ける理由」に対する世界の回答者の割合(%)

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Source: Euromonitor Voice of the Consumer: Health and Nutrition Survey, fielded February 2020

消費者の心を掴むことができない人工甘味料

糖分の削減と健康との関連性が叫ばれ、消費者が低糖の製品を求めるようになる中、特に飲料製品などに使用される高甘味度甘味料にとっては大きな商機があるように思われる。

しかし、消費者は、高甘味度甘味料を解決策だと捉えてはおらず、むしろ避けようとしている。市場に出回っている高甘味度甘味料のほとんどは人工的である一方、前述のサーベイ調査の回答者の31%が、「飲食品の表示ラベルを見る際に、どのような原料や情報を確認するか」という質問に対して、「人工甘味料が使われていないこと」と答えている。この回答を選択した回答者は4番目に多く、また全ての地域において一貫性が見られた。

過去10年間の高甘味度甘味料を語る上で、ステビアを無視することはできない。ステビアは、天然由来であり、クリーンラベルや天然素材に対する需要の高まりも相まって、大きな新商機をもたらした。しかし、ステビアをはじめとする天然甘味料は、他の人工高甘味度甘味料のように消費者の購買意欲を減退させるものではないが、購買を後押しするものでもない。

消費者は天然の甘味料を許容しているものの、消費者にとって理想的であり、なおかつメーカーにとってもベストなのは、甘味料が追加されていなくとも魅力的な製品であるといえる。

企業と消費者が価値を見出す「砂糖無添加」の訴求

消費者は、可能な限り本来の成分による甘さだけを求めており、「砂糖無添加(no added sugar)」のコンセプトは受け入れられ、より多くのメーカーが採用するようになった。 

2019年の世界市場では、加工食品よりもソフトドリンク製品の間で砂糖無添加の訴求が多く見られた。中でもジュースは、砂糖無添加の訴求の割合が最も大きいソフトドリンクのカテゴリーで、全ジュース製品の4%が砂糖無添加を謳っていた。ジュースは、健康意識の高い消費者に対して訴求力があり、大きな可能性を秘めたカテゴリーである一方で、糖分摂取の一因となっていることが懸念材料となっている。そのため、消費者に対し、必要な糖分しか含まれていないことを強調するジュース製品が増えているのは当然のことであるといえる。 

加工食品では、ベビーフードの「砂糖無添加」訴求率が5%と最も高い。消費者は、子どもの健康のためには糖分の摂取を控えることが重要だと考えるようになっており、「砂糖無添加」表示はそうした消費者に安心感を与えていると考えられる。

しかし、全体的に見ると、砂糖無添加の訴求は、砂糖に対する今日の消費者意識と同調するものであるにもかかわらず、全体に占める割合はまだ低い。今後は、砂糖無添加の訴求がさらに増えていくことが予想される。また、「ノンシュガー」や「低糖質」などの訴求も、砂糖を避けたいという消費者のニーズに応えるものとして、今後、人気を集める可能性がある。

加工食品とソフトドリンクカテゴリーにおける「砂糖無添加」を訴求した製品カテゴリーTOP10

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Source: Euromonitor Product Claims and Positioning

なお、糖分の含有が懸念材料になりにくい加工野菜・果物やボトルウォーターといった製品カテゴリーにおいても、砂糖無添加を訴求する製品が見られる。2020年、これらの製品カテゴリー全体の約1%が、砂糖無添加を訴求していた。砂糖が使用されることは少ないこれらの製品カテゴリーで、あえて同訴求を謳うことで、消費者へのアピールと、砂糖入り製品との差別化の狙いがあるものと思われる。

今後の方向性:砂糖に対する消費者ニーズを理解することが鍵となる

消費者の砂糖控えが進む中、メーカーは砂糖使用の削減にメリットがあるかを見極めなければならない。レシピに変更を加えれば、製品の魅力である味が損なわれてしまう可能性がある一方、何もしなければ、消費者がより健康的だと思われるカテゴリーに移ってしまうリスクもある。メーカーにとっては、適正なバランスを見つけることが、今後の成功の鍵となるだろう。

糖分に対する消費者の懸念が高まる中、メーカーたちが消費者に安堵感をもたらすために、また、差別化を図るようになることから、今後も「砂糖無添加」、「ノンシュガー」、「低糖」といった製品訴求が増え続けることが予想される。

このようなトレンドが自社の事業や製品分野にどのような影響をもたらすかについて、詳しい調査にご興味のある方は、こちらまでお問い合わせください。

(翻訳:横山雅子)

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