ユーロモニターインターナショナルの最新グローバル企業レポート、「Apple, Inc in Consumer Electronics」が発行された。ユーロモニターが一年間に発行する数多くの市場、企業レポートの中でも、世界中のビジネス関係者に最も読まれるレポートのひとつである。本記事では、同レポートが解説する、アップル社の現在の世界市場におけるパフォーマンス、戦略および今後の課題を、以下の通り要約する。
サプライチェーンへの投資で市場へのアクセスを拡大し、技術革新の速度を高める
アップル社は近年、生産をベトナムにシフトし、生産上の課題を軽減すべく自社チップ製造に投資するなど、戦略的にサプライチェーンを再編成している。自社生産により、イノベーションと差別化を加速させる目的もあるが、中国やインド企業との競争や、各国政府が課す関税といった課題が、国際市場におけるアップルの地位に影響をもたらす恐れもある。
革新的なアクセサリ製品で顧客密着度を高める
iPhoneはアップルエコシステムの要であり、AirPodsのような補助デバイスとのシームレスな統合を可能にし、ブランドロイヤリティを育むと同時に、消費者がVision Proのような他のアップル製品を検討することを促す。同社の新たなヘッドセット型デバイスであるVision Proは、同社のすべての製品やサービスとともに、アップルエコシステムとの結びつきを強化し、アップルならではのユーザー中心、実用性主導の体験を提供する、という同社のコミットメントを体現している。
出所:Apple, Inc
スマホの買い替えサイクルの長期化が成長を停滞させる可能性も
スマートフォンの旧モデルが維持される傾向は、アップル社にとって重要な収益源であるiPhoneの今後の売上成長に、影響を与える可能性がある。iPhoneの販売台数は、スマートウォッチやAirPodsなどの補助デバイスの購入やサービス収入の原動力となるため、iPhoneの販売台数が伸び悩むと、すべての事業セグメントの成長が阻害され、同社全体の成長が停滞する恐れもある。
出所:Apple, Inc
サービス事業へのさらなる投資でポートフォリオのバランスを取る
AppleCare、App Store、Apple CardやApple Payなど、決済サービスを含む同社のサービス部門は、iPhoneの販売台数の増加や各地域での有料サブスクリプション会員数の増加に牽引され、大幅な成長を遂げた。この堅調な成長は、ハードウェア製品の販売における逆風を相殺するかもしれないが、規制上の課題が、同社の収益化努力を制限する可能性もある。
最新グローバル企業レポート「Apple, Inc in Consumer Electronics」では、アップル社およびサムスン社をはじめとした競合企業の世界市場における関連製品カテゴリーごとのシェア、主要市場における今後の売上予測、ブランドごとの国別ランキング、Vision Proの展望を、詳細に考察、提供している。
本レポートはPassportデータベースの中でもアクセス可能です。詳しくはユーロモニターまでお問い合わせください。
*iPhone、AirPods、Apple Vision Pro、AppleCare、App Store、Apple Card、Apple Payは、Apple Inc.の商標です。